奨学金関連のニュースに思うこと

こんなニュースを読みました。

このブログには、あまり時事問題などについて書かないのですが、このニュースには、
とても思うところがあったので、つい書いてしまいます。

自分が学生および教師として長くやった経験から強く思うことは、
なぜこの日本という国は、こんなに教育を受ける機会が不平等なのか? ということです。

私自身、大学および大学院に行くために、
「授業料免除」と「奨学金」の制度を、最大使わせていただきました。
奨学金の方は、今でも返し続けています
(返せるだけの原稿料をいただけることが、どれほどありがたいことか)。

私の父は、とてもよく働く腕の良い職人でしたが、
日本の産業構造の急激な転換などもあり、
収入には恵まれませんでした。
だから、もしこれらの制度がなかったら、
私はおそらく大学にも、大学院にも、行っていなかったでしょう。
そのことは、とても感謝しています。

ところが、私が大学院の後期に入った頃あたりから、
国公立大学の授業料はどんどん高くなり、免除規定はどんどん厳しくなり、
奨学金も返還規定や貸与審査もどんどん厳しくなり。
当時、後輩や教え子で「やっぱり無理です」と進学をあきらめた子がたくさんいました。

私自身も、何年ものオーバードクター・非常勤暮らしの果てに、
やっと就職先を見つけたときは、「ああこれでやっと……」と思いましたし、
逆に、どうしても職を辞さなければならなくなったときは、
「さてこれで奨学金を返せるだろうか?」と真っ先に思いました。

私は幸い、相方もだいたい同じような生育環境だったので、
そのあたりを理解して助けてもらうこともできて、
今こうして暮らしていけてますし、ありがたいことに、
今では、なんとか自分で働いたお金で返済ができます。
(奨学金の返済のせいで、縁談が壊れる人がいるという話を聞いたこともあります、辛いことです)
私も、もし、OD非常勤暮らしがもっと続いていたら? 
体を壊して職を辞さねばならなくなったとき、もし独身だったら? 
そう思うと、ぞっとするのです。
で、実際に、知人にはそれに近い環境で、
まだ歯を食いしばってがんばっている人がたくさんいます。

ニュースの反応には、「給付型の奨学金をもっと増やせ」とありましたけど。
もちろんそれもそうですが、
そもそも、国公立の大学・大学院にかかる費用がこんなに高いのは間違いだ、
と強く思うのは、私だけでしょうか。
(しかも、大学院を出て博士号をとっていても、実は就職口のない人が、今とても大勢います、
 これはまた別の話になるので、これ以上ここでは深く書きませんが)

社会がこのまま進んだら、親の収入の少ない人は、どんどん教育を受ける機会が奪われます。
昨日のTVで、池上彰さんが憲法の第二十三条「学問の自由は、これを保障する」はとてもいい、と
おっしゃっていました。でも、これ、今本当に保障されているのだろうか? と。
学問を学ぶ縁を、お金のせいで断ち切られている人がたくさんいるのではないか?と、
思うのは、私だけでしょうか。

貸与義務の強い今の奨学金って、まるで遊女の年季奉公みたいだな、なんて。

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今姫たちと暮らせるのも、いろんなありがたいご縁のおかげだものね。。







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プロフィール

おくやまけふこ

Author:おくやまけふこ
愛知県生。小説家。
名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。
大学教員などを経て、2007年、第87回オール讀物新人賞受賞を機に作家デビュー(受賞作は『源平六花撰』に所収の「平家蟹異聞」)。
名古屋市在住。
家族は夫と猫二匹。

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