稽古長屋 音四郎楽屋ばなし~番外編・三味線のはなし

第四話「はで彦」にいく前に……。

三味線、子供の頃からやってたの? と聞いてくださる方があります。。
いえいえ、とんでもない……そんな環境にはありませんでしたから。。。。

文字通り、四〇の手習い。

今日はそんなお三味線の話を書いてみます。
興味のない方はスルーしてやってください。

三味線て譜面ないんでしょ? (ギターみたいな)フレットもないんでしょ? 
難しいんでしょ?  とも言われますが。

えーと、そうですね。簡単な楽器だとは言いませんが、実は案外、
手がかりがあちこちにあります。
特に、長唄の譜面は、ピアノやギターなどの西洋楽器をちょっとやったことのある人なら、
へーって思うほど、理屈にかなっています。
これは、明治期に、「譜面を作ろう」という活動をなさった師匠方のご労作とのこと。
(なので、お久や音四郎は、師匠の手の動きと自分の耳だけを頼りに稽古してたことになります)

ただし、流派によってちょっとずつ違う記譜法が、三種類あります。
まずは、横譜とか赤譜とも言われている文化譜。こちらは残念ながら、
私は流派が違うので、よく分かりません。

私がいつも見てる譜面は↓こんなのです。研精会譜と言われるものです。
縦に書いてあります。(文化譜は横書き)
IMG_20150107_091937.jpg
これと、もう一種類ある青柳譜(青譜)と言われる譜は、理屈はいっしょでかつ縦書きなので、
どちらかを学んだ人は、たいてい両方の譜面を読むことができます。

三味線には「本調子」「二上がり」「三下がり」という三つの調弦があって、
曲によって、あるいは曲の途中でも変わることがあります。
西洋音楽の「~長調」とか「~短調」みたいなものです。

本調子では、三本の弦を、西洋のドレミファで言うと「シ」、「ミ」、「シ」(オクターブ違い)にします。
二上がりでは二の絃を一音上げるので「シ」「ファ#」「シ」。
三下がりでは三の絃を一音下げて「シ」「ミ」「ラ」となります。

長唄用の譜面では、ドレミファに相当するものを数字で表します。
「ドレミファソラシド」=「12345671」。オクターブ違う音には、数字の横に「・」を付けて区別。
#や♭も使います。
なので、譜面に「34#67」ってあったら、「ミファ#ラシ」って弾くことになります。

ただし、ここで、理屈通りに考える人には「?」なことも。
三味線って、歌い手によってキーを自在に変えるんです。カラオケの機械みたい(笑)です。
これが「○本」という考え方。
落語の「寝床」で、旦那が「のどの調子がなぁ。今日は師匠に一本負けてくれと言っておくれ」
などと言いますが、この「一本負けてくれ」は、キーを一つ(半音)下げてくれ、という意味に。

四本で本調子だったら、「シミシ」=「CFC」になりますが、
五本なら半音上がって全部に#がつきます。六本だと一音上がるので「DGD」に。
西洋音楽に詳しすぎる方だと(笑)、ここで「?」となるそうですが、
私はかじった程度なので、かえって納得しやすくて、ありがたかったのでした。

なーんて。
簡単ではないけれど、世間一般に言われているほど、
気むずかしい楽器ではありません。
とりあえず、ばちを当てれば音は出るし、
小ぶりで、絃は三本だから、手が小さくても、部屋が狭くてもだいじょうぶだし。
私はピアノもギターも挫折したけど、三味線は続いています。
(和音とコードがだめだった……)
いきなり有名な曲の一部分とかが弾けちゃう、なんてのも、魅力かな。
勧進帳とか、花見踊りとか、越後獅子とか。

いかがでしょう? 三味線、ご一緒に。


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プロフィール

おくやまけふこ

Author:おくやまけふこ
愛知県生。小説家。
名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。
大学教員などを経て、2007年、第87回オール讀物新人賞受賞を機に作家デビュー(受賞作は『源平六花撰』に所収の「平家蟹異聞」)。
名古屋市在住。
家族は夫と猫二匹。

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