稽古屋音四郎 楽屋ばなし その1 ~「大女」

最新作「稽古長屋 音わざ吹き寄せ」では、立川志の輔師匠が、
帯に「落語のうまみもギュギュッと詰まった」とのお言葉を寄せてくださり、
とてもとてもありがたい。。。。(^∧^)。。。。。。
ただ、これまで落語にご縁のない方から「どのへんが落語なの?」とのご質問も。

と、いうことで、やぼを百も承知で、いくつか、ここでネタばらしをしてみようかと思っております。
よろしければおつきあいください。

まずは第一話、「大女」から。

音四郎さんの住まいが「長谷川町の三光新道」。
これは、落語「天災」と「百川」で出てくる地名です。
取材にうかがった際、三光稲荷神社では氏子のみなさんがとても暖かくて。。
「長谷川一夫の長谷川は、長谷川町からとっているんだよ」なんて教えてくださったり。
情緒を感じました。ああここを舞台に選ぶのは、やっぱり正解だ、良いお話にしていこう、って。

さてさて、メインの人物であるお久とお光。
この名前、どちらもやはり落語に登場します。

お久は、「文七元結」では健気な少女。「真景累ヶ淵」では、なかなか因果な……。
拙作では、異父兄である音四郎を支えつつ、自分も生き方を模索し続ける、
そんな女性として造型しております(つもり)。

お光。こちらは作品で触れたとおり、「お染久松」のもう一人の名前なのですが。
ただ、落語でもしばしば近所の「おかみさん」として名前が出ます。

あと、準レギュラーの「若狭屋のご隠居」。いつも兄妹を助けてくれる救いの神。
こちらは、古典落語ではなくて、朝ドラの「ちりとてちん」から拝借。
ヒロインは「徒然亭若狭」さんでしたよね。

8頁の「伊勢屋」。これも、落語によく出るお店の名前。
江戸の名物の一つだそうです、「伊勢屋、稲荷に犬の糞」。
猫の「小太郎」は……落語にはないかな? 
でも落語家さんにいらっしゃいます、柳家小太郎さん。当代は、期待の二つ目さんです。

指物師の久七「指久」は、実は、獅子文六氏の「悦っちゃん」からいただいてます。
(あちらは「久蔵」さんだったと思います)
この小説好きで。「さしきゅう」っていう響きが、いかにも職人さんぽくて、とても印象に残っていたのでした。

お袖さんは四谷怪談ではお岩さまの妹さんの名ですが……他にもありそう?
江戸の町娘、しかも美人っぽい名前、と勝手に思っていたりいたします。

……このたびは、これくらいにしておきます。
こういうの、書き手の自己満足でしかないのですが(苦笑)。
(そんなとこに凝ってないでさっさと書け! って担当者の叱声が聞こえてきそう……)
書いているときの、楽しみの一つなんです、お許しを。

ね、ちい姫。IMG_20141121_112617.jpg




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プロフィール

おくやまけふこ

Author:おくやまけふこ
愛知県生。小説家。
名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。
大学教員などを経て、2007年、第87回オール讀物新人賞受賞を機に作家デビュー(受賞作は『源平六花撰』に所収の「平家蟹異聞」)。
名古屋市在住。
家族は夫と猫二匹。

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