寧さまの名古屋弁講座その5~番外編「どたぁけ!」by秀吉さま~

前回は、とても美しく柔らかい(と、私は思うのですが……)言葉をご紹介しました。
寧さまは、お優しい方ですから。

でも今回は番外編。「太閤の能楽師」、お話の後半で、
太閤さまが、怒りのあまり暮松新九郎に言い放ってしまった、罵り語を取り上げてみます。

寧さまとは違い、太閤さまは、日頃は共通語でお話しされます。
出身地の異なる大勢の家臣を束ねておいでですから。

でも、感情が高ぶると、ぽろっと故郷の言葉が。

232頁「おまえんたらぁは、おみゃあは、一生、儂の気に入るように、
       儂の命令通りに、謡い、舞っとればええんじゃ

共通語訳「おまえたちは、おまえは、(中略)、謡い、舞っておればよい!

「おみゃあ」の複数形は「おまえんたらぁ」。
発音はもう少し「おみゃああんたらぁ」に近いかもしれません。
「てめえぇら」とやると江戸弁ぽくなりますか。呼ばれただけで、「怒ってる怒ってる」ってなりそう。

これが、ご機嫌の良い時なら「おまはんらぁ」と、かなり上方言葉に近い感じになるでしょうね。
「みなさんは」のニュアンス。
河村たかし名古屋市長さんが、記者の皆さんをよくこう呼んでいるように見受けます。

で、さらにお怒りは続き。

232頁「おみゃあの好きになどさせるきゃあ! このどたあけが!

共通語訳「「おまえの好きなようにはさせない。この裏切り者の大馬鹿野郎!

「どたあけ」(漢字で書くなら「ど呆け」です)は、名古屋弁では最大の罵り語です。
馬鹿と阿呆と足してさらに二倍する感じかな。。。側近の立場でこれを言われると、
もうほぼお手討ち覚悟でしょうね。。。
(……でもここは、太閤さま、本当はお寂しかったのだと、作者は思っておりまするが)

この場に寧さまがおいでならば、新九郎のこと、取りなしてくださったのでしょうけれど。
残念ながらそうではないので……。

「気の毒でぇも」
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プロフィール

おくやまけふこ

Author:おくやまけふこ
愛知県生。小説家。
名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。
大学教員などを経て、2007年、第87回オール讀物新人賞受賞を機に作家デビュー(受賞作は『源平六花撰』に所収の「平家蟹異聞」)。
名古屋市在住。
家族は夫と猫二匹。

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