てんしき杯 その1  予選 Aブロック in じゅうろくプラザ

2017てんしきAブロック
このレポをあげるのは、ものすごーく覚悟が要りますが。
でも、学生さんたちに、私なりに真摯に向き合った二日間。
記憶が薄れないうちに。

昨年とはいくらか、選抜方式に変更のあった予選。
今年の方が、審査する席数は少し多いのですが、順位を付ける上では、
多少、タイムロスを防げたかと思います。

Aブロックは、とにかくトップバッターの永福亭灰松さんの印象が強烈すぎて。
あまりにも、鮮やかな、見事な、「まんじゅう怖い」。
「プロの誰かの完全コピー」だけでは(それがどれほど見事でも)、もう絶対に勝ち上がれない、
そんな今のてんしき杯の状況を、見せつけたオープニングでした。
彼については、決勝のレポであらためてとりあげることにしましょう。

全体に、技術レベルはやはり上がってますね。

今年のテーマかな、と私が思ったのは「笑いの温度差」でした。
これは、私自身、小説でいつも考えてしまうことです。
「太閤の能楽師」ではお能、「稽古長屋」では落語と純邦楽、「たらふくつるてん」では落語。
そのジャンルを知らない、興味のない人にも、面白いと思ってもらえるかどうか? という重たい課題。

学生落語の場合は客の「世代差」と、東京と京都・大坂、およびそれ以外、という「地域差」が感じられました。

若い人や、本人を個人的に知っている人にしか分からない情報、知識、センス。
おそらく内輪にしか通じない、話題と笑い……。
そういったもので盛り上がっていた高座が、何席かありました。

プロならば、「もっとリーダビリティ(落語だと、なんて言えば良いのかな?)を!」と要求すべきかもしれませんが、
でも、学生落語ならではの、ハチャメチャで自由な空気を、「てんしき杯」という場では、許容すべきなのかな?
とも。

そのあたりは、審査員全員が、ものすごく悩み、考えたことだったと思います。

この傾向は、どちらかというと男性演者に顕著だったかな。
そのへんも興味深かったところです。
たぶん、来年度以降もこの問題はずっと続くでしょう。
ある意味「学生落語」に何を要求、期待するのか。という、
てんしき杯のもっとも追求すべきテーマが、ついに浮き彫りになってきたと言うべきなのかも。
昨年度の優勝がカレーぱんさんだったことが、思えばその前兆でしたね。

どの審査員が、誰に何位をつけていたかは、会場で発表されているので、ここでは詳述しないことにします。

さてさて、去年、霜月亭雪走さんが先頭を切って繰り広げてくれた、「女子の世界」は、今年はいよいよ
広がっている気がしまして、Aブロックでは、そうした女子が多く、順位付けにとっても悩みました。

技術的には未熟だけど、女子の斬新な新作としてびっくりだった丸家りーたさん。
男子となんら遜色ない技量を見せてくれた、くるくる亭パーマン3号さん、
法政勢の田町家巷さん、田町家ほ八さん。
見台をしっかり生かして見事だった藤乃家琴鈴さん。

とりあげだすときりがないくらい、魅力的な方がいらっしゃいました。
でも、決勝にいけるのは、原則ただ一人。

それが灰松さんだったことには、おそらく、このブロックでは、誰も異存はなかったと思います。

長文になりました。
Dブロックと決勝については、明日にでも改めて、書くことにしましょう。







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テーマ : 歴史小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

おくやまけふこ

Author:おくやまけふこ
愛知県生。小説家。
名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。
大学教員などを経て、2007年、第87回オール讀物新人賞受賞を機に作家デビュー(受賞作は『源平六花撰』に所収の「平家蟹異聞」)。
名古屋市在住。
家族は夫と猫二匹。

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